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トップ  >  電子協によるオフィスコンピュータの定義の変遷

1990年のときの各種コンピュータの定義



※日本電子工業振興協会(略称:電子協)は2000年に電子情報技術産業協会と名を変えていますが、オフィスコンピュータを定義していた期間(1975〜1995年)はずっと電子協でしたので、以下は電子情報技術産業協会のことを電子協と書きます。日本ではこの電子協という団体がコンピュータの定義と統計を毎年行っています。
これらコンピュータの定義もオフコンの定義と同様年度によって変わっています。ここでは1990年の定義を書いています。当然今も定義を行っているので、興味がある人は調べてみるといいでしょう。

●汎用コンピュータ


1990年当時の電子協による汎用コンピュータの定義
    汎用コンピュータとは次の基準に該当する電子計算機をいう。ただし、展示用のもの、製造計画のためのサンプル、プロトタイプのものおよびプロセス制御用等の専用機として設計されたものは対象としない

  1. ディジタル型である

  2. プログラムの蓄積方式で重要な命令を内部記憶装置に記憶しているか、または相当性能を有する。

  3. 内部記憶容量が2,000ビット以上であること。ただし、サイン、パリティ・チェックのために有するビットは含まない。

  4. 電子論理演算により行われる演算機構を有する。

これはよくわからない定義ですね。今メインフレームとか言われているのがこれ。


●ミニコンピュータ


1990年当時の電子協によるミニコンピュータの定義
  1. 制御、計算、通信、設計など広範囲にわたる分野に適用できる基本的設計思想を持ち、拡張性、融通性に富、かつ、システム・ツール、システム・コンポーネントとして販売できること。

  2. OEM供給ができ、I/Oインタフェースが公開可能であること。

  3. ディジタル型であり、プログラム蓄積方式をとっていること。

  4. 周辺機器として、入出力装置、ファイル装置を具備していること。

  5. プログラム開発用言語として、高級言語(FORTRAN、COBOL、BASIC、C等)の最低1つを具備していること。

なお、ミニコンピュータには、以下の要件を満たすEWS(エンジニアリングワークステーション)を含むものとする。
  1. CAE、ソフトウェア開発、研究/開発等を中心として利用される対話型の主としてシングルユーザ、マルチタスキングの環境下で使われるワークステーションであること。

  2. 高解像度(約800×800ドット程度以上)ビットマップディスプレイと接続ができること。

  3. LAN(主としてEthernet)のインタフェースを標準で装備しているもの。

オフコンと同じクラス/価格帯で、事務処理向け用途以外はミニコン。
分類上、数年前までミニコンとワークステーションが分かれていたのが統合されたので、こんな書き方になっています。




●オフィスコンピュータ


オフコンは別のところに詳細に記載したので、ここは省略。



●分散プロセッサ


1990年当時の電子協による分散プロセッサの定義
    分散システムを構築するプロセッサは、DP(Distributed Processor)、FEP(Front End Processor)、IT(Intelligent Terminal)に分類されるが、ここではDPのみを掲載する。DPとは次の機能を有するものをいう。

  1. ホストまたはFEPと通信回線を介して接続され、配下に複数の端末を収容し、制御をつかさどる。

  2. センタと端末の間の中継処理装置として位置づけられるが、単なるデータの中継のみならずそれ自身、高度のデータ処理機能を有する。

当時も分散プロセッサは一般には馴染みの無いコンピュータかもしれません。感じとしては、クライアント・サーバシステムで、サーバとクライアントの間に居るコンピュータ。端末(ターミナル)やプリンタのようなクライアントの制御や管理、他のシステムとの通信といった細々とした雑務は分散プロセッサに任せましょう、クライアントから上がってくるサーバがやるまでも無いような簡単な仕事は、サーバまで回さずに分散プロセッサで処理しちゃいましょう、そしてサーバは重要で処理の重い業務処理に専念してもらってシステムの利用効率を上げましょう、という概念。定義として存在したのは1980年代から1990年代初頭までの短い期間でした。(上のようなやり方が廃れたのではなく、分散プロセッサの考え方が普通・当たり前になっちゃって、普通のサーバでもできるようになったので、わざわざ分散プロセッサとしてジャンルを独立する意味がなくなった。)



●パーソナルコンピュータ


1990年当時の電子協によるパーソナルコンピュータの定義
  1. 事務用、科学技術用、計測制御用・教育および趣味用など、多目的に利用される小型の電子計算機であること。

  2. マイクロプロセッサベースでディスプレイ等の出力装置、キーボードなどの入力装置および入出力インタフェースを基本構成とし、必要に応じて補助記憶装置、その他の周辺装置などを付加したものであること。

  3. BASIC、COBOL、PASCAL等の高級言語が使用でき、ユーザが自力でプログラミングできるものであること。

  4. 価格の目安は、システムとしては300万円以下であること。
価格の安いその他扱いのコンピュータは皆パソコンというわけです。





この辺りは若い人はピンと来ないと思うので、図示します。

高価格
 ↑
 |
 |
 |
 ↓
低価格

汎用コンピュータ
(メインフレーム)


オフィスコンピュータ
(オフコン)


ミニコンピュータ
(ミニコン)


パーソナルコンピュータ
(パソコン)

事務処理向け科学計算/制御向け

それぞれの分類は販売価格帯によって分けられています。真ん中だけはなぜか用途でも分けられていますが、別に事務処理しかできないコンピュータ、科学計算しかできないコンピュータというわけではなくて、メーカーがこの機種はこの用途で売っていくぞというような営業上の理由とコンピュータ発達史上の都合という意味しかありません。普通のコンピュータなので、オフコンで科学計算もできるし、ミニコンで事務計算もできます。
価格帯はそれぞれオーバーラップしているので、この価格から上が何で下がこれという明確な基準はありませんが、この頃の汎用コンピュータとオフコン/ミニコンの境はおおむね1000万円から4000万円辺り、オフコン/ミニコンとパソコンの境が100万円から300万円付近となります。
この分類からさらに汎用コンピュータは超大型、大型、中型、小型、ミニコンやオフコンにも大型、中型、小型(普及型)といった分類もあります。

パソコンにも50万円以下の家庭/ホビー向けを主としたものとそれ以上の価格帯の企業向けのものがあります。前者はPC-8801、FM-7、X1、MSXといった名前のパソコンで、インターネット上のサイトでレトロパソコンとか称されてよく紹介されているので結構有名でしょう。後者がN5200やFACOM9450、2020/2050、B16、if、5550など、こちらもたくさんの種類があります。
家庭/ホビー向けパソコンは、主に街のパソコンショップで売られていましたが、企業向けパソコンはその性格上パソコンショップで売られることはほとんどなく、コンピュータのディーラーや販売店などから直接企業に販売されていました。

この頃はまだ一般にパソコンはあまり普及しておらず、家庭/ホビー向けパソコンは一部のパソコンマニアが買う程度でしたがそれでもかなり販売されています。ただしいくらマニアとはいえ個人が買う台数は限られていました(この頃のマニア市場自体も小さいですし)。一方、企業向けパソコンの方も、企業は1回で数十台、数百台という単位でまとめて購入するので、こちらもかなり売れていました。
その割りにこの企業向けのパソコンはインターネット上のサイトを探してもあまり紹介されていないようです。これはマニアにとって、仕事で使ったパソコンよりも自分の趣味で使ったパソコンの方が愛着があるはずなので仕方が無い面もあるかもしれません。(企業向けパソコンはパソコンショップなどに置かれる事がなかったため、一般の目に触れなかったので興味の対象とならないということも理由にあるでしょう。)
この頃はNECのPC-9801という(当時NECは企業向けパソコンN5200があったので、PC-9801はどちらかというと家庭/ホビー向けパソコンの高額なものに分類)機種が圧倒的に売れていましたが、これは唯一家庭/ホビー向けと企業向けという2つのジャンルを制覇したパソコンだからです。


分類に話を戻すと後はこれに時代によって、分散プロセッサが分類上付け加わったり、ワークステーションが加わったり、統合されたり、分かれたり、名前が変わったりしていくだけです。



今はだいたい下のような感じ。
高価格
 ↑
 |
 |
 |
 ↓
低価格

汎用コンピュータ
(メインフレーム)


ミッドレンジ・コンピュータ


パーソナルコンピュータ
(パソコン)

何でも用途向け

簡単になりました。今はハードの違いよりもOS(WindowsやらUNIXやら)の違いでコンピュータは語られることが多いので、こんなものでしょう。
パソコンのハードの種類はマック(これもCPUにインテルのものを採用するなどだんだん近づいてきているし)以外はほぼ1種類しかないし、ミッドレンジ・コンピュータもパソコンのハードを拡張したものがかなりの率を占め、汎用コンピュータもインテルのCPUを採用するなど同じ傾向を示してきているので、そのうち分類分けする必要はなくなるでしょう。


最近の若い人と話していると、若い人はそもそもコンピュータのハードのアーキテクチャが事実上1種類しかない時代しか知らないので、昔は「普通のパソコン」と「マック」(これもパソコンですが)以上にハードが異なる無数のコンピュータがあったことは理解できないみたいですね。ハードの違いというとCPUがインテルのかAMDのかとかマザーボードやグラフィックボードの違い、OSの違いというとLINUXのディストリビューションの違いというぐらいの違いしか思いつかない様で。「昔のオフコンはメーカが違うとOSも違うから同じソフトウェアは動かないよ」と言うと、「たしかにWindows95で動くソフトでもWindows Vistaでは動かないのもありますね。」とか言われたりして愕然とします。そんなレベルの違いではないのですが・・・。最後に年寄り臭い話になりました。





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